決して若くはない年齢で演技を始めたチ・ジニ。しかし、彼には俳優としての無限の可能性が見える。
「実業専門学校で視覚デザインを専攻しました。だから大学時代からデザイン会社でアルバイトをしていました。そのうちにフリーランサーとして第一企画という広告代理店で本格的に写真を撮るようになったんです。デザイン専攻だから写真も付随していましたが、デザインより写真が僕にあっているようなんですよ。スタジオに入って3年ほど写真を学びました。そして偶然マネージャーに出会ったんです。僕に演技をしてみないかと言うのですが、本当に想像だにしていないことでした。嫌だと言って逃げつづけました。するとほぼ1年追い回されました。結局、僕が両手を上げてしまいましたよ。」
彼が私たちに知られたのは2000年に放送されたSBSドラマスペシャル<ジュリエットの男>を通してだ。彼は実力ある冷静な事業家でありながら、愛する女性の前では穏やかで優しい男性「スンウ」を演じた。歌手チョ・ソンミンのミュージックビデオ<三流映画のように>でデビューして、ドラマ<女秘書>、MBCベスト劇場<美しい男>などに出演したのが演技経歴の全てだった彼を<ジュリエットの男>で主役級のキャスティングをしたのは一種の冒険だったのかもしれない。
カメラマン出身でまともに演技の修業を受けたわけでもなく、出演作が多いわけでもなく、演技力が不足している事は自ら感じていたが、<ジュリエットの男>を通して自らを知らしめてくれたオ・ジョンロク監督にいつか報いる機会があるだろうと自信を持って語る。普段、スポーツでストレスを発散することを楽しむという彼はバスケ、スキンスキューバ、パラグライダーなど山っ気の強いスポーツを好む。
機会があればロッククライミングにも挑戦してみたいと言う彼は、運動をしない日には飛行機を作るのだそうだ。木と紙を利用して飛行機を作るのだが、じっと座って飛行機を作ってみると何も考えず時間も過ぎ、ストレス解消方法として良いと言う。後々、年を取れば趣味で写真と工芸をやりたいという彼は本当に多方面に渡って才能豊かな人だ。
"どんな役を引き受けても、たとえ僅かな部分であってもキャラクターと自分が似ている所があると思います。表に現われない内側に隠されているその性格を引き出す作業が演技ですよ。”
自分の隠された性格を導き出す作業が演技だという彼の言葉のように、彼は自分の持つ全ての性格を捜し出し、多種多様なキャラクターを演じて行くはずだ。どんな役でも与えられ次第、最善をつくして演じるという彼の姿に無限の可能性がうかがえる。 |