|
アメリカを覆う陰謀論「Q」とは？トランプも手を焼く聖典の中身
今回のテーマは、このコラムでも何度か紹介したことのあるアメリカのネット掲示板で、政治的な投稿を行った「Ｑアノン」の最新動向についてです。
2019年3月16日掲載
 トランプ大統領を英雄視するネットメディアと「Qアノン」
「Ｑアノン」の最近の投稿とアメリカ社会の大きな変化
トランプ政権の内部にいると思われる「Ｑアノン」ですが、トランプ大統領を新しいをリーダーとして、政治や国際情勢に関する裏情報を日本の「２ちゃんねる」のような掲示板に2017年頃から投稿してきました。
来年実施予定のアメリカ大統領選挙前後は、かなり暴力的な行為が国内で発生する可能性があります。なぜかと言えば、トランプ大統領が米民主党に弾劾に向けて追い詰められているからです。
具体的に言うと、ウクライナ疑惑について民主党は、トランプ大統領の弾劾に向け、権力の乱用と議会の調査への妨害の2つの訴因を弾劾訴追状をまとめています。今後、下院議会の司法委員会で弾劾訴追状について採決を行った上で、弾劾訴追の決議案の採決を行う見通しです。
弾劾するかどうかの最終審判を行うのは、共和党議員が多数を占める上院議会ということで、今のところは弾劾されることはないと思われます。しかし、共和党議員から離反者が出れば結果は変わる可能性があります。
実際に、弾劾裁判への動きはトランプ大統領を激怒させており、ツイートでは「魔女狩りだ」として、頻繁に開催している支持者集会で弾劾を主導している民主党を厳しく非難しています。
そのような状況の中、トランプ政権の内部にいると思われ、トランプ支援を訴えている謎の人物「Ｑアノン」の投稿が増えてきています。当然、アメリカ国民の「Ｑアノン」支持者もトランプ大統領を支持するようになりつつあります。
日本でも、意外と「Ｑアノン」の支持者は多く、知らない読者のためにも「Ｑアノン」について説明しておきます。投稿者は匿名ですが、「Q clearance」とはアメリカのエネルギー省から与えられる国家の最高機密に対するアクセス権限のことです。
これは、国防総省（ペンタゴン）が与える高い権限であり、これを持つ者はアメリカの安全保障にかかわる最高機密にアクセスが許されているわけです。「Q clearance」を持つ「匿名（anonymous）」ということで、「Q anon（アノン）」と呼ばれるようになりました。
QAnon supporters are rejoicing over a Fox News segment ‘investigating’ the conspiracy theory
すべての投稿は「Ｑ」のハンドルネームで行われ、投稿にはアメリカの「4Chan」特有の個人認識番号であるコードが付いています。投稿の目的は、アメリカで起こっている危険な事態を阻止し、トランプ大統領とともに新しい時代を推進することです。
「Ｑアノン」によると思われる投稿は50ページもなり、質問形式によってそれらの質問を全て調べると、「世界各国で本当に起こっていること」がはっきりと見えてくると言われています。中には、「Ｑアノン」しか知ることができない情報が多く、明らかにトランプ政権内部からの情報という見方もあります。
https://qanon.pub/
実際に、アメリカでは「Ｑアノン」の投稿を徹底して調べる人が増えており、それが一体どのような投稿なのか簡単に説明していきたいと思います。
特に、投稿内容として多いのが「米軍情報部」と「諜報機関CIA（中央情報局）・NSA（国家安全保障局）」との対立についてです。また、ヒラリー・クリントンなどトランプ大統領に敵対する人物についても投稿しています。
さらに、選挙の不正操作や捜査のための小委員会の設置についてや、反政府組織の「アンティファ」やイスラム原理主義者の政治組織「ムスリム同胞団」についても投稿されています。最も重要なことは、ドナルド・トランプが「不正を防止する約束で大統領になるように依頼された」ことです。
「Ｑアノン」は、「これから明らかになる政治的腐敗は、あまりにも巨大なため人々が責任を逃れるためにはなんらかの取引が必要になる」、と投稿しています。そして、「70％の政治家は刑務所に収監され、悪事を働く者たちからの防衛は日々進行している」とも語っています。
| 
2019/12/25
